≪世界水泳カザン≫男子メドレーリレーのメダルの可能性は?
世界水泳カザンで楽しみなのは、男子メドレーリレーのメダルの行方だ。まず記録を見てみよう!
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世界記録:アメリカ
3分27秒28
(2009世界水泳ローマ)
ピアソル・シャントウ・フェルプス・ウォルターズ
日本記録
3分30秒74
(2009世界水泳ローマ)
入江・立石・藤井・原田
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ここでまた「高速水着」の壁が立ちはだかる。高速水着は2009年12月31日で禁止されたので、2010年以降の記録を比較する必要がある。
2010年以降の日本代表のタイムを比較すると…
≪1位≫
3分31秒26
(2012年7月ロンドン五輪)
入江・北島・松田・藤井
(銀メダル)
≪2位≫
3分31秒70
(2014年9月アジア大会仁川)
入江・小関・池端・塩浦
(銀メダル)
≪3位≫
3分32秒08
(2014年8月パンパシ水泳ゴールドコースト)
入江・小関・池端・中村
≪4位≫
3分32秒26
(2013年世界水泳バルセロナ)
入江・北島・藤井・塩浦
(銅メダル)
≪5位≫
3分32秒89
(2011年世界水泳上海)
入江・北島・藤井・日原
(4位)
…という事で、「手ぶらで帰すわけにはいかない」という有名なロンドン五輪のタイムは、豪州を抑えて銀メダルを獲得しただけあって、高速水着以降では最速である。
五輪のあと、世界水泳バルセロナでは、アメリカが引き継ぎ違反で失格で銅メダルを獲得したものの、一時タイムが落ちたが、
2014年は、北島と藤井が抜けたあとも確実にタイムを伸ばしているのは、かなり評価できるのではないだろうか。
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余談。
2010年パンパシ水泳アーバインで古賀が泳いでいるが、その他は全て背泳ぎは入江が泳いでいるのが凄い。
ロンドン五輪では自由形を泳いでいる藤井だが、それ以外はバタフライが殆ど。藤井は自由形の日本記録保持者でもあり、4継を泳ぐ事も多いが、ロンドン五輪がいかに男子スプリント選手が不足していたか?という事でもあるのかな。
藤井は去年は選考会ではメドレーリレーの出場資格があっ
たが、夏に調子を崩し、池端に出場を奪われた。川本にもチャンスはあるかもしれない。
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現実的に、メダルラインを考えよう!
気になるのは、2位のタイムを出している「アジア大会仁川」が「銀メダル」に終わっていることだ。
この時の「金」は中国で、
「3分31秒37」であること。
このタイムは、日本チームの1位~2位の間に相当する。
今年の1月に行われた「BHP4か国対抗」は4×50Mしか行われなかったが、
1位:アメリカ
2位:オーストラリア
3位:日本
(入江・小関・池端・川内)
4位:中国
上位2国は、ロクテやマグナッセンなど、かなり有力な選手が出ていた。中国はエースの寧澤濤を欠いていた。あなどれない。
ここで、2010年以降のアメリカのタイムを見てみよう。
≪1位≫
3分29秒35
(2012ロンドン五輪)
グレイバース・ハンセン・フェルプス・エイドリアン
≪2位≫
3分29秒94
(2014年パンパシ水泳ゴールドコースト)
グレイバース・コーデス・フェルプス・エイドリアン
※世界水泳バルセロナ優勝
フランス
3分31秒51
ラクール・ドルドナ・ストラビウス・ジロ
(アメリカはこれより速く泳ぎ、引継ぎが0.04秒多いとして失格になった。0.03迄は許される。)
この時のメンバーは、
グレイバース・コーデス・ロクテ・エイドリアン。
アメリカは唯一、3分29秒台で泳いでいるチームなのだ。
それ以外は、オーストラリア、日本、フランス、中国も3分31台前半にとどまっている。
アメリカチームは、グレイバースとエイドリアンが安定しているから、やはりバタフライのフェルプスの調子によるところが多いかもしれない。
ライバルは他に、オーストラリア、中国、フランスあたりだが、3分30秒台を出してはいない。いかにアメリカが強いか。
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日本チームに要求される事は、3分31秒前半~3分30秒台のタイム。
高速水着時代の
「3分30秒74」を更新すれば、メダルと日本記録更新が両方手にはいるという事になる。
ロンドン五輪は3分31秒67だから、約1秒ほどの短縮が望まれるというわけだ。
今年、水泳連盟が設定した「派遣標準記録」は
○派遣標準Ⅰ:3分32秒60
(世界ランク6位)
○派遣標準Ⅱ:3分34秒52
(世界ランク12位)
代表選考会のタイムは…
(カッコ内は、各種目の派遣標準Ⅰタイム)
入江Ba:52秒99(53秒22)
小関Br:59秒73(59秒53)
藤井Fly:51秒77(51秒65)
中村Fr:48秒78(48秒00)
合計:3分33秒27(派遣Ⅱ)
となり、単純計算ではメダルは望めない。また、リレーの場合はもっとタイムが速くなるのだが。
原因としては、派遣標準Ⅰを切っているのが、入江だけだから仕方がない。
ラップは各種目の「派遣Ⅰ」がターゲットになるか?
しかし去年なども最終的には3分31秒台に速くなってきたから、多いに期待しよう!
今年は「ジャパンカップ」はイギリスなどの代表チームも参加するから、前哨戦のオーストラリアオープンなどと一緒に、リレーチームの仕上がり具合を見ることもできる。
言ってはいけないが、アメリカや中国は引き継ぎ違反が多く、過去その恩恵をこおむった事が何回もあるから、
本当に、メドレーリレーは面白いのだ!
…残念なのは、世界水泳だとメドレーリレーは最終日最終種目で、最終日には400M個人メドレーもあるために、萩野や瀬戸がなかなか出場できないところだ。
しかし、我々としては、バルセロナ大会の時のように、個人メドレーとメドレーリレーで、最終日のメダル獲得を楽しみたいところだ。
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追記!
世界短水路ドーハ(2014年12月)での順位。
世界記録:3分19秒16(2009年8月、ロシアチーム)
≪1位≫
ブラジル
3分21秒14
グイド・フランカ=シルバ・マセド・シエロフィーリョ
≪2位≫
アメリカ
3分21秒49
グレイバース・ミラー・シールズ・ロクテ
≪3位≫
フランス
3分22秒26
マナドゥ・ドルドナ・メテナ・ミニョン
≪4位≫
ロシア
≪5位≫
イギリス
≪6位≫
ロシア
≪7位≫
日本
3分22秒92
入江・小関・萩野・塩浦
※従来の日本記録
「3分26秒67」を大幅に更新したが、メダルには程遠かった。
世界水泳カザンでは、
地元開催のブラジルと、フランスの躍進は無視できない。
短水路ドーハでは、フランスは世界水泳バルセロナの時のメンバーはドルドナだけ。バルセロナではブラジルのシエロフィーリョとフランスのマナドゥ(自由形の世界記録保持者)がいなかった。主要なスプリンターはロンドン五輪以降休んでいた人が多かったのだ!
(反対にドーハではアメリカはエイドリアンとフェルプスを欠いていた。)
水泳連盟の設定している「派遣標準記録」は本当に理屈に合っていると言わざる得ない。世界短水路の結果を見ると、でもそれ以上に、世界記録は高速化しているという印象を拭い去れないのだ。