「アスリートの魂」でほぼ初密着された萩野公介の世界はいかに?

週末、「アスリートの魂」というNHKの番組で萩野公介選手を取り上げた。

ロンドン五輪でメダリストになった後、高校生時代は何回かバラエティに出演したようだったが、東洋大に進んでからはそうそう機会が極端に少い人に思っていた。今年の1月に新成人として、日ハムの大谷と対談したくらい。


特に2013年夏に世界水泳で優勝した瀬戸は、入江とよくテレビに出るようになり、実家やキャンパスライフにもカメラが入ったが、今回の「アスリートの魂」で萩野のプライベート風景らしいのは、プールへの移動や先輩の小堀選手と並んでマッサージを受けているところくらい。

最初わたしは、平井コーチが報道管制をひいているのかと考えたが、著作を読むとどちらかというとコーチは「メディアに慣れろ、見方につけろ」という方針の人らしい。本人が嫌っていたのではないかな?…しかしこの選手のスケール上、そろそろ密着型の取材慣れなければならない時期に来ているのであろう。


萩野公介についてはかなり詳しいから、番組で取り上げられた内容では、東工大の教授が撮影した「ボディポジションの高い泳法」くらいしか目新しいところはなかった。

有名な「乳酸値」が高い事もやっていたが、これはムシロ瀬戸との比較値が見たいところだ(笑)

注目していた高校生まで指導した前田コーチへのインタビューもイマイチ。…萩野は中学生の時に膝の手術をしているのだが、その事にも触れず。

2014年はアジア大会のMVPに選ばれるほど記録が飛躍したのに、その内容が希薄で、僅かに瀬戸に破れた2013年の世界水泳や2014年末の世界短水路が「何故勝てないのか」と強調され、気の毒だった。6種目でメダル圏内のタイムをもっているという言及もなし。1500Mやバタフライの記録も物凄い事という紹介もなし。


さらに、平井コーチが「チーム練習」を強調していることから本人に「自分はあまり他人に興味がない」と言わせて、北島と対比させた事もどうか。


わたしは、萩野公介という男子は、水泳をとったら大人しい普通の子だと思う。どちらかというと、日本語であれこれ説明するのが苦手なタイプではないかな?

でも、決して感状の希薄な人だとは思わない。表現する事がとても苦手なだけ。取り組んでいる事が特別で多すぎ他に神経が回らないのだ。

同じ水泳部の同級生に、世界記録を出して以降3年低迷している山口選手がいるが、もしこの人に同情したり、影響されて一緒に落ち込むような事があっても困る。悪い事も連鎖反応を起こすのだ。

自分のとてつもなく厳しい練習メニューも、「俺しか耐えられねーよ」って思わないとやってられないだろうし。


ただコーチが散々書いているように、コーチとコミュニケーションを欠いたり、悩みを打ち明けないのはいけない。


今年北島が代表入りすれば、萩野には随分「帝王学」が身に付いたことだろうが、残念ながらならなかった。

ただ同じリレーで同窓同期の天井選手が代表入りしたのは良かった。今まで同期といえば瀬戸だったし、チームメイトの小堀くんにはタメ口だけどいちお先輩(笑)

後輩は瀬戸の後輩の坂井や他大の坂田だったから、今後後輩の松本などが代表入りすれば、「氷のハート」の萩野公介といえど(笑)おせっかいを焼くんじゃないかな?

そういう気持ちは自然と沸いてくるでしょう。

わたしは、この日本選手権で萩野が日本記録を更新する可能性は少いと書いてきた。それは、前回の更新が去年の秋の種目が多く間が短い事、高地合宿に北島や星が同行し、カメラが来たこと、種目を減らして去年と調子が違うこと、などが理由だ。

ただ、世界水泳で日本記録は更新してくるだろうと思う。代表合宿にはカメラは入らないし、徐々に記録を上げていくし、日本選手権のように「独走状態」にならず「競り合い」のレースが増えるだろうから。

200M個人メドレーは世界記録に一番近い種目だから、かなり上げていくとおもう。最終日に行われる400M個人メドレーは連覇を狙う瀬戸の出来によるとみる。ふたりが牽制しあえば記録は伸びないだろう。

今回のテレビで思ったことは、萩野公介という選手は本人はやや地味だけど(笑)やってることやってきた事は本当に多種目でマルチなスイマーであると再認識させられたことだ。あの60分では彼の能力は十分に紹介出来なかったように思う。
それに、瀬戸や入江とのライバルエピソードを加えたらもっと話題が膨らむし。

ただマスコミが、ちょっとヒールで暗いイメージを押し付けようとしているのは嫌な傾向だなぁ

またこういう番組があれば、絶対逃さず見たいと思った。